alacantonade

精神分析と映画をめぐる読書案内

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

独裁者としてのリンカーン:トランプの時代に読むソロー(その8)

2017/03/28 トランプのオバマケア撤廃法案が議会によって事前に葬り去られました。 アメリカの三権分立主義のとりあえずの勝利といえましょう。 さて、ソローです。 ソローがジョン・ブラウンの違法行為を公然と支持したことについてはすでに述べました。 ジ…

プチ隠遁者としてのソロー:トランプの時代に読むソロー(その7)

2017/03/22 ソローは森にひきこもりました。 けれども二年と二ヶ月の後にその森を後にしました。 それもみずからの意志でです。 一般に、ソローは“森に入った人”と考えられていますが、“森を出た人”でもあることをわすれるべきではないでしょう。 そこがソロ…

ソローと反知性主義:トランプの時代に読むソロー(その6)

2017/03/20 トランプ当選の余波で森本あんり氏の『反知性主義』が部数を伸ばしているようです。 同書で森本氏は、その「独自の近代知性批判」を以て、ソローが反知性主義の伝統の「一角を占めるかもしれない」としています。 アメリカの反知性主義は、入植者…

ソローからウィトゲンシュタインへ:トランプの時代に読むソロー(その5)

2017/03/16 ソローは民主主義の先にある政治形態として、「個」にもとづく体制を夢想しています。 ソローは絶対君主制から立憲君主制、そして民主制への移行を“発達”として捉えているようにみえます。つまり、諸体制をヒエラルキー化し、現時点での最良の形…

ジョン・ブラウンからアンティゴネーへ:トランプの時代に読むソロー(その4)

2017/03/05 ジョン・ブラウンは奴隷制を認める政府を、神の名の下に破壊しようとしました。 絞首刑に処されたジョン・ブラウンの行為は、同じく縊死したもうひとりの反逆者の運命を思い起こさせます。 ギリシャ悲劇のヒロインで、オイディプスの娘であるアン…

ソローと西部劇:トランプの時代に読むソロー(その3)

2017/03/04 ハリウッドの“良識派”がしきりにトランプにかみついていますが、売名行為にしかみえません。 人種間の比率をクオータ化(?)すれば“多様性”が保てるとでも言うかのようなアカデミー賞をめぐる単細胞的デマゴギーにも心底辟易します。 閑話休題。…

誰がアメリカン・スピリットを殺したか?:トランプの時代に読むソロー(その2)

2017/03/02 つい数時間前のこと、トランプは施政方針演説において「アメリカン・スピリットの復活(renewal)」を唱えました。 トランプがいかにアメリカン・スピリットを葬り去ろうとしている張本人であるかについては前号でお示ししたとおりです。 みずか…

トランプの時代に読むソロー(2017/03/01)

トランプ退場はトランプ主義の終焉を意味するものではありますまい。2017年3月に別の場所に書いた文章をこの機会に再掲します。 「アメリカ・ファースト」を唱えるトランプほど反アメリカ的なアメリカ人はいないでしょう。 トランプがほんらいのアメリカ的な…