alacantonade

精神分析と映画をめぐる読書案内

2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

<その後>の時:ジャック・ランシエールのタル・ベーラ論

*Jacques Rancière : Béla Tarr, le temps d'après, Capricci, 2011. タル・ベーラの世界をハンディに概観できる好著をランシエールがものしている。おそらく最初のタル・ベーラ研究書のひとつだろう(フィルモグラフィー等はついていない)。ランシエール…

「性関係の<存在>」:ジャン=リュック・ナンシーのラカン論

*Jean-Luc Nancy : L'> du rapport sexuel, Galilée, 2001. ラカン生誕100周年にあたる2001年に「性関係はない」というテーマで催されたL'Ecole lacanienne de la psychanalyse の会合での講演に基づくテクスト。 ラカンによれば、「性関係はない」。 とい…

「エロスとタナトスのはざまのモダニティー」:ピエール・マシュレのフロイト論

*Pierre Macherey : Freud : La modernité entre Eros et Thanatos(http://stl.recherche.univ-lille3.fr/seminaires/philosophie/macherey/macherey20052006/macherey12102005cadreprincipal.html) 『ヘーゲルかスピノザか』(新評論)などで知られるマ…

ラカン派によるユング論:『精神分析と宗教的なもの』

*Philippe JULIEN : La psychanalyse et le religieux : Freud, Jung, Lacan, Cerf, 2008. 『ラカン フロイトへの回帰』(誠信書房)の著者で、ラカン派を代表する論客の一人であるフィリップ・ジュリアンが、カトリック系の出版社(アンドレ・バザン『映画…

ジャン=ジョゼフ・グーの『モーセと一神教』論

*Jean-Joseph Goux, Les iconoclastes, Seuil, 1978. 『偶像破壊者たち』と題されたもはや古い本のなかで、ジャン=ジョゼフ・グーはフロイトの遺言的著作『モーセと一神教』を政治的な文書として読み解いている(「フロイトとナチズムの宗教的構造」)。 …

「超自我の発明」:エティエンヌ・バリバールのフロイト論

*Étienne Balibar : L'invention du Surmoi, Freud et Kelsen 1922, in Citoyen Sujet et autres essais d'anthropologie philosophique, PUF, 2011. 「超自我の発明 フロイトとケルゼン 1922年」は、2006年に行われた「来るべき精神分析」と題されたコロッ…