alacantonade

精神分析と映画をめぐる読書案内

2017-01-01から1年間の記事一覧

エイジーの夜:『いまこそ名高き人たちをたたえよう』

承前。 ジェームズ・エイジーと写真家のコラボレーションといえば、いうまでもなく『いまこそ名高き人たちをたたえよう』(Let Us Now Praise Famous Men : Theree Tenant Famillies, 1941年)に遡る。 かのライオネル・トリリングが「われわれのアメリカの…

ジェームズ・エイジーの『全映画批評』(その2)

*James Agee : The Works of James Agee volume 5 : Complete Film Criticism (The University of Tennessee Press, 2017) ヘレン・レヴィットの写真集 A Way of Seeing に収録されたジェームズ・エイジーのテクストはお定まりの“巻頭エッセー”にとどまらな…

ジェームズ・エイジーの『全映画批評』

*James AGEE : Complete Film Criticism : Reviews, Essays, and Manuscripts (Edited by Charles Maland, The University of Tennessee Press, 2017) 全十一巻が予告されている「ジェイムズ・エイジー著作集」(The Works of James Agee)の5巻めに当たる…

ジャン=ルイ・コモリの「イスラム国」映像論:『ダエシュ、映画、死』

*Jean-Louis Comolli : Daech, le cinéma et la mort (Verdier, 2016) 「イスラム国」(以下、ダエシュ)の勢力がすくなくとも地理的には縮小しつつあると報じられるきょうこのごろ。 ところで、ダエシュを未曾有の勢力たらしめたのはなにか? 映像である。…

パーカー・タイラーを読む(その8)

(承前) パーカー・タイラーのエッセー Charade of Voices のさいごのパートは「アンチクライマックスの声」と題されている。 考察の対象となるのはディズニーの音楽アニメーション「メイク・マイン・ミュージック」シリーズの一篇『くじらのウィリー』。 …

パーカー・タイラーを読む(その7)

パーカー・タイラーのエッセー Charade of Voices のつづきをよんでいこう。 「Voices that no speakee…」という翻訳不可能な標題の下に論じられるのは、アクセントが異人種であることの符牒として用いられるケース。 『キスメット』のジェームズ・クレイグ…

パーカー・タイラーを読む(その6)

(承前) 「告げ口屋の声(Tattle-tale voices)」。 女優ベティ・デイヴィスのキャラクターは『人間の絆』におけるヒロインの「声」によって固まった。その whinking, snarking, shrewish tones がデイヴィスをして皮肉屋、the legendary cat of colloquial…

パーカー・タイラーを読む(その5)

Charade of Voices というエッセーのつづきをよんでいく。 「谷と山と平原からの声」と題されたパートでは、「ヒルビリー、ディープ・サウス、カウボーイ」の類いにカテゴライズされる俳優たちが扱われる。 ウィル・ロジャースやゲイリー・クーパーの「ナチ…

パーカー・タイラーを読む(その3)

Magic and Myth of The Movies (1947)の巻頭に収められたエッセー Charade of voices をひきつづきよんでいこう。 「習得された英語の話し手」(Voices that learned to speak English)との小見出しの下に論じられるのは1940年代ハリウッドの外国人スターた…

パーカー・タイラーを読む(その4)

ひきつづき Charade of voices というエッセーをよんでいこう。 「バリモア一族を含め、さいしょに英語を話した声(Voices that first spoke English, including the Barrymore)」というパートにおいては、由緒正しい英語の話し手たちが俎上に載せられる。…

パーカー・タイラーを読む(その2)

パーカー・タイラーの Magic and Myth of the Movies の巻頭を飾るエッセーは「声たちのまやかし(Charade of Voices)」と題されている。 charade という多義的な語はタイラーの批評の重要なキーワードのひとつ。 このエッセーでタイラーはいわば1940年代の…

パーカー・タイラーを読む(その1)

『眼に映る世界』のスタンリー・カヴェルが謝辞を捧げている先人の一人にパーカー・タイラーがいる。 昨年刊行された The Rhapsodes : How 1940's Critics Changed American Film Culture (シカゴ大学出版)のデヴィッド・ボードウェルが、アメリカの映画批評…