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精神分析と映画をめぐる読書案内

2011-01-01から1年間の記事一覧

精神分析とスピリチュアルなもの

* Jean Allouch : La psychanalyse est-elle un exercice spirituel? (EPEL, 2007) 今月を以てラカン没後ちょうど30年。1971〜72年の講義録 ... ou pire、講演録 Je parle aux mursをはじめ、ジャック=アラン・ミレール Vie de Lacan、エリザベート・ルデ…

精神分析はヒューマニズムか?(その2)

『精神分析黒書』が、精神分析を科学でもなければ精神療法でもないとしたのに対し、『反黒書』は、『黒書』の著者たち(の一部)が提唱するTCCこそ、科学でもなく、精神療法でもないと切り返す。 精神分析は、患者を自由連想に委ね、患者自身の言葉から患者…

精神分析はヒューマニズムか?(その1)

* Catherine Meyer (éd.) Le Livre noir de la psychanalyse (Edition des arènes, 2005, nouvelle édition 2010) Jacques-Alain Miller (éd.) L'Anti-livre noir de la psychanalyse (Seuil, 2006) もはや旧聞に属することであると思われるが、2005年9月…

マニー・ファーバーを読む(4)

引き続き、「白象の芸術 vs. 白蟻の芸術」を読んでいこう。 さて、映画における白蟻の芸術の事例として三つめに挙げられているのはジョン・フォードの『リバティ・バランスを射った男』におけるジョン・ウェインの演技である。『三つ数えろ』、『Hog Wild』…

マニー・ファーバーを読む(3)

引き続き、「白象の芸術 vs. 白蟻の芸術」を読んでいく。なお、この文章の初出は、Film Culture (Winter 1962)。 前回の引用部分で、映画における白蟻の芸術の事例として二つめに挙がっていたのは、ローレル&ハーディーの映画であった。その部分をあらため…

マニー・ファーバーを読む(2)

さて、「地下の映画」における「トンネル」と「獣道」という二つのイメージは、その5年後の文章「白象の芸術 vs 白蟻の芸術」の中で、「白蟻」という一つのイメージに結びつき、「高くつくだけで何の役にも立たない」「白象(置物)の芸術」に対置されるこ…

マニー・ファーバーを読んでみよう

*Farber on Film : The Complete Film Writings of Manny Farber (The Library of America, 2009) ハリー・アラン・ポテイムキン(1900-33)、オーティス・ファーガスン(1907-43)、ジェイムズ・エイジー(1909-55)、ロバート・ウォーショー(1917-55)。 …