alacantonade

精神分析と映画をめぐる読書案内

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

アラン・バディウのヴェンダース論:アラン・バディウの映画論(2)

* Alain Badiou : Petit manuel d'inesthétique (Seuil, 1998) ; Cinéma (Nova Editions, 2010) 「映画の偽の諸運動」(Les Faux mouvements du cinéma)の初出は 1994年。バディウ美学の(たぶん)代表的な著作『非美学ハンドブック』の一章を構成し、次い…

愛の讃歌——アラン・バディウの映画論

*Alain Badiou : Cinéma, Nova Editions, 2010. ジル・ドゥルーズやスタンリー・カヴェルと同様に、アラン・バディウも哲学と映画が同じ使命を担っていると考える。 それを一言で要約するなら、ほんらい結びつきのあるはずのないところに結びつきを模索する…

ジャック・ランシエールのフリッツ・ラング論

*Jacques Rancière : D'une chasse à l'homme à une autre : Fritz Lang entre deux âges, in La Fable cinématographique (Seuil, 2001) フリッツ・ラングがハリウッドで撮った『ルージュ殺人事件』(1956)は、ドイツ時代の『M』(1931)のある種のリメイ…

ダネーのジャン=ピエール・メルヴィル論——セルジュ・ダネーのテレビ論(2)

*Serge Daney : Un flic dans le petit écrin, in Devant la recrudescence des vols de sacs à main, Aléas Editeur, 1991. セルジュ・ダネーの単行本未収録全文集(La maison, le cinéma et le monde 1~3)がついに完結した。これについては注文中の現物…

セルジュ・ダネーのテレビ論(1)

*Serge Daney : Beauté du téléphone, in Devant la recrudescence des vols de sacs à main, Aléas Editeur, 1991. カヴェルのテレビ論が発表された5年後の1987年、リベラシオン紙上でセルジュ・ダネーによるテレビ批評の連載がスタートする。 ダネーもま…

スタンリー・カヴェルのマカヴェイエフ論

*Stanley Cavell : On Makavejev on Bergman, in Cavell on Film (SUNY, 2005) 1978年、ベルイマン映画の自作コンピレーションを携えてハーヴァード大学を訪れたドゥシャン・マカヴェイエフが「ベルイマンと夢」という講演を行う。 「ベルイマンを論じるマ…

スタンリー・カヴェルの『オペラ・ハット』論

*Stanley Cavell : What Photography Calls Thinking, in Cavell on Film (State University of New York Press, 2005) ; Cities of Words (Belknap Press of Harvard University Press, 2005) 「写真が思考と呼ぶもの」の初出は1985年(Raritan 春号)。『…

スタンリー・カヴェルのテレビ論

*Stanley Cavell : The Fact of Television, in Cavell on Film (State University of New York Press, 2005) 『ルーツ』、『ダラス』の大ブレイクをきっかけに全米のブラウン管を連続ドラマが征服しつつあった頃に書かれ、いま読んでも読みごたえ十分のテ…

スタンリー・カヴェルのフレッド・アステア論

*Stanley Cavell : Philosophy The Day after Tomorrow (Belknap Press of Harvard University Press, 2005) 『明後日の哲学』の第1章と第3章で、それぞれ『バンドワゴン』冒頭近くの二つの演目(routine)が分析されている。(第1章のみ『カヴェル映画…

スタンリー・カヴェルの『北北西に進路を取れ』論

*Stanley Cavell : North by Northwest, in Cavell on Film (State University of New York Press, 2005) 『北北西に進路を取れ』論は、論文単位としてはカヴェルの映画論の代表作の一本に挙げることができる。初出は Critical Inquiry 1981年夏号。その後…